ザクロの栄養と健康効果

薬用としてのザクロ

ザクロの栄養と健康効果でもうひとつ注視したいのは、ザクロは昔からいろいろな部位が薬用に供されてきたという点です。ただし、こうした利用方法・治療方法は過去の歴史的な治療法ということで、科学的な効果が証明されたかどうかとは別だと思ってください。


まず樹皮・根皮ですが、乾燥させた樹皮、根皮は、「石榴皮」(ザクロヒ)という生薬名で、古くから条虫の駆虫薬として利用されていました。これについては、1884年に駆虫薬としての実際の有効性も科学的に証明されています。日本薬局方でも初版から「石榴根皮」として収載されていました。


石榴皮の主な成分は、揮発性アルカロイドとタンニンです。駆虫には乾燥させた樹皮、根皮約30~60gを300ccの水に6時間程度浸してから服用します。これは回虫の駆除にも使用されていたようです。ただし、多量の服用は中毒の危険性があるので、容量は厳守となっています。


「和漢三才図会」では他にも果皮の煎剤を内服して下痢、下血、脱肛、崩漏に用いるとの記述もあります。口内炎、扁桃炎のうがい薬として用いられていたようです。


更に漢方薬として、石榴根皮、苦楝皮(クレンピ)、「石榴根湯・せきりゅうこんとう」があります。果皮は根皮よりも揮発性アルカロイドの含有量が低く、その分効果は劣るようです。